『世界は千里でひとつになる The World Comes Together in Senri』 海外子女教育情報センター(INFOE)発行 『月刊 INFOE』連載記事より 第2回 千里国際学園の英語教育 アドミッション/ 英語科 井藤眞由美 こんにちは。第二回目の今日は千里国際学園(以下SIS)での英語教育、言語環境についてお話します。 <日英バイリンガル環境> 前回の記事でも紹介されているとおり、SISは、関西在住の外国人家庭の子供たちが学ぶ「大阪インターナショナルスクール」(以下OIS)と、同一キャンパスで、合同の教育を行っています。二つの学校の校舎が分かれているわけではなく、壁があるわけでもなく、教室、図書館、体育館、食堂、運動場などを共有しています。授業も可能な限り多くの授業を合同で行っていますし(後の項目で少し詳しく説明します)、クラブや生徒会の活動、学園祭やスポーツディなどの行事も合同で行っています。校内放送やアセンブリー(全校集会)などにも両言語が使用され、印刷物や連絡事項も二つの言語で伝えられ・・・という具合に、日常的に英語と日本語をバランスよく耳にし、目にし、そして使うべき必要に迫られる環境にあります。 校内に一歩足を踏み入れると、日本語と、英語(そして、時にはそれ以外の言語も)が聞こえてきて、生徒たちもSISの生徒かOISの生徒かはすぐには区別がつきません。まさに二つの学校が一体となった雰囲気です。初めて学園を訪れてくださる方は、「日本に(大阪に)このような場所があったのですね。」と驚かれることが多く、またアメリカなど英語圏の現地校と土曜日補習校という二つの学校文化を経験してきた帰国生の人たちからは、「海外にいたときの自分のままでいられる環境がある」という声をよく聞きます。 <イマージョンプログラム> SISとOISの生徒が必ずいっしょに受ける授業があります。それは、Art(美術)、Music(音楽)、P.E.(体育)です。P.E.の一部が、安全のためもあり日本語での授業である以外は、授業はすべて英語で行われます。授業の内容もインターナショナルスクールのカリキュラムにそっていますから、日本での標準的な実技科目授業とはずいぶん違います。授業では、基本的にすべてを最初から英語のみで行います。これはイマージョン(どっぷり浸るという意味)教育という言語教育の一手法で、SISではこの三つの実技科目において英語イマージョンプログラムを採用しています。英語での教育を受けた経験がない生徒たちは、中学一年生の最初には大きな戸惑いを感じることもあるようですが、英語の授業と、学校全体のバイリンガル環境とで、最初の一学期が終わるころにはすっかり落ち着いて過ごせるようになっていきます。言われることがわかるようになって少しずつ自分の発言もできるようになっていく様子は頼もしいものです。逆に、海外で英語をつかってこれらの授業を受けてきた生徒たちにとっては、スムーズにその続きを学べる喜びがあるようです。 現在は、「情報」「世界史」などもSISとOISの生徒が合同で授業を受ける場合は英語を授業言語としています。 <SISでの英語:現地校出身の場合> 中学生の場合、英語の授業は、プレースメントテストの結果により、4つのレベルに分けて行われています。英語で勉強をしてきた人たちは、そのうち3つのレベルに分かれます(h+, h, i)。一番上のクラスh+は英語のネイティブ話者と同等の英語力の人、次のクラスhがESL上級、そしてiはESL中級くらいにあたると考えてもらえるとわかりやすいか思います。 h+レベルの人は、中学三年の秋よりOISの英語の授業をとることができます。OISでは、IB(インターナショナルバカロレア)の授業を行っていますので、日本の学校にいながら、IB English取得が可能です。 高校生になると、英語科で提供している多くの授業の中より自分で選択して受講していきます。(選択授業のシステムについては別の機会に説明させていただきましょう。)高校生向けに開講している授業は約45種類で、シェークスピア、オースティンなどの文学を題材とした授業、スピーチやディベートのクラス、模擬国連に参加するための授業、絵本を研究・作成してOISの小学生に発表する授業、心理学や言語学を英語で学ぶ授業、など多種多様な授業が用意されています。 SISには、アメリカ現地校で身につけた英語力を「維持」するだけではなく、そこからさらに「伸ばす」ことのできる環境と英語の授業が用意されています。 <SISでの英語:日本人学校出身の場合> 日本人学校出身の人の多くは、S(スタンダード)レベルからスタートします。中学の最初の二年間は週6時間の英語の授業(日本人教員4時間、ネイティブ教員2時間)で、Cambridge English WORLDWIDEをメインテキストとし、一般の中学三年生までに学ぶレベルを少し超えたレベルまで学び終えます。中学三年生になっての一年間は、高校での選択授業を取れるようになるための訓練期間です。週5時間の、ネイティブ教員のみによる授業。日本語を使うことは許されず、英語の本を読み、英語でディスカッションし、英語でエッセイを書く、ということを一年間かけて徹底的にトレーニングします。そしてこの授業を終えた後にはiレベルと認定され、高校の選択授業が取れるようになります。その内容は、上記<現地校出身の場合>と同じです。また、iレベルの人も、IB English B (ネイティブではない英語学習者向けのインターナショナルバカロレア)を取得することができます。 なお、高校一年生として入学してきた日本人学校出身の人には、通常この中学三年生の授業からスタートしてもらいます。ここで十分トレーニングを受けた後、SISの高校生向け選択授業に進んでいくことになりますから心配は無用です。各自の状況に応じてそれまでの経験に合ったスタート地点が用意されています。 <その他> 英語以外の言語として、フランス語、ドイツ語、スペイン語、中国語の授業があります。これらの言語で現地校の教育を受けて帰国した人たちにもその言語をさらに学べる環境が用意されています。経験者の人は中学生のうちから、初心者として受講する人は高校一年から、受講できます。 2003年4月より、大阪外国語大学と「高大連携」の関係を結んでいます。高校二、三年生の生徒は放課後の時間を使って大学の授業を受けることができ、それは単位としても認められます。 ■一時帰国の折には、ぜひ学園のバイリンガル環境を実際にご自分の目でご覧になってください。お待ちしています。 Senri International School Foundation, All Rights Reserved. Modified 2006/04/10 |