2006-2007冬学期
SIS「数学講読」クラス主催 9年
陳威仁 山中幸樹 江崎英佑 緒方良輔 張暁 青木ゆり
宮地美玲 佐野貴 水沢丈 11年
吉積彩 洪知仙 12年 池尻文
福田浩平
「博士の愛した数式」上映会
2月21日(水)午後3:50開演
シアター(午後3:30開場)にて
入場無料 上映時間117分 英語字幕つき Amazon.co.jpより 小川洋子原作の同名小説を映画化。タイトルどおり数学の「数式」が登場するのだが、できあがった映画は“理系”よりも“文系”の印象。全編に、メランコリックで心地よい空気感が漂っている。交通事故の後遺症で、80分しか記憶が持たない博士の元に、新しい家政婦がやって来る。やがて彼女の息子も訪ねて来るようになり、博士は息子の頭の形から彼をルート(√)と呼び、3人の絆は深まっていく。 物語は、成長して数学教師になったルートが、授業で教えるシーンと並行して進んでいく。「素数」「完全数」といった数学嫌いの人には頭が痛くなる単語も、博士のシンプルな説明で、すんなり耳に入ってくるから不思議。それは大人になったルートの授業でも同じで、演じる吉岡秀隆の真摯な教師ぶりに引き込まれるのだ。博士とルートのドラマには、阪神タイガースなどのネタを効果的に使用。ドラマチックな何かを期待して観ると肩すかしを喰らうが、ほんのりと温かい後味は得られる。それは小泉堯史監督の持ち味でもある。(斉藤博昭) 内容(「Oricon」データベースより) 博士の愛した数式 ●概要 『博士の愛した数式』(はかせのあいしたすうしき)は、小川洋子の小説。2003年8月新潮社刊。第一回本屋大賞受賞交通事故による脳の損傷で記憶が80分しか持続しなくなってしまった元数学者「博士」と、博士の新しい家政婦である「私」とその息子「ルート」の心のふれあいを、美しい数式と共に描いた作品。 本屋大賞受賞、2006年1月の映画化の影響をうけ、2005年12月に文庫化されるやいなや新潮文庫では史上最速の2ヶ月で100万部を突破した。数学者エルデシュを描いた『放浪の天才数学者エルデシュ』 が参考文献として挙げられており、エルデシュは「博士」のモデルと言われることもある。 <あらすじ> ●登場人物 博士 私 ルート 博士の義姉 ●作中に登場する数学用語 ルート 虚数 階乗 友愛数 素数 双子素数 完全数 過剰数 不足数 三角数 ルース=アーロン・ペア メルセンヌ素数 ネイピア数 オイラーの公式 フェルマーの最終定理 アルティン予想 ●映画 2006年1月21日公開。監督は小泉堯史。「私」の視点で描かれた原作に対し、映画では中学校の数学教師になった29歳のルート(原作に準ずれば教員生活7年目)が、あるクラスの最初の授業で博士との思い出を語るというものになっている。また、原作では深く描かれなかった博士と未亡人の関係についても触れていることなどの違いはあるが、原作をほぼ忠実に映画化している。 キャスト スタッフ 以上 出典:
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 ◆SIS数学科「数学講読」授業担当馬場より一言 数学ブームの火付け役になったという点で、総合すると小説も映画もいい作品です。が、少々気になる点があったので、それも見どころのひとつということで述べさせていただきます。 まず映画のなかに√1=±1という誤解を招く表現があります。このミスをあとで試写会の時になってから気づいた監修の岡部恒治埼玉大学教授が、その話を雑誌「数学セミナー」2006年2月号で語っています。映画の冒頭、中学校の数学の先生になった「ルート」君が授業をしているシーンにありますので注目してください。 一般に「オイラーの公式(Euler's
formula)」は 最も小さい「完全数」は6です。6以外の約数1、2、3を加えると6になります。プロ野球「阪神タイガース」の背番号6番といえば1981年に打率.358で首位打者を獲得した藤田平を思い出す人も多いでしょう。個人の好みで言うと、派手な江夏より地味な藤田を取り上げてほしかったと思います。 小説では江夏のカードを探す場面が間延びして冗長な感を受けますが、映画ではその場面はなく、あっさりと仕上がっています。ただ、博士と義姉が能を鑑賞しながら手をつないでいる場面は小説にはなく、不要に思いました。 |